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「3寸?4寸?5寸?」屋根勾配ってなんのこと

2022.2.1マメ知識

屋根勾配って何のこと

はじめに

屋根をイメージするとき、多くの方が角を頂点に持つ三角形を頭に浮かべます。屋根の特徴は頂点から地面に向かって傾斜する面であるという共通した理解があるからです。この時の屋根面の傾斜を「勾配」と呼び、屋根の場合は屋根勾配と続けて表現されることが多くあります。この勾配を表す単位が「寸」です。もちろん角度で表すこともありますし、分数表記の場合もありますが、寸での表記が一番多く用いられます。寸が大きくなるほど傾斜がきつくなり、角度によって「緩勾配(かんこうばい)」とか「急勾配」という言い方がされます。どの家にもある同じ屋根なのに勾配がゆるい家と急な家があります。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。その理由と意味をこの記事では簡単に解説してみます。

勾配の「寸」とはどんな単位?

勾配を表す「寸」は水平方向の寸法を10と置いたときにどのくらい屋根が立ち上げっているかを表す単位です。言葉で言うと分かりにくいですが、図を見て頂くと簡単です。寸であらわすときは単純に、「10」ではない縦に付けられた数字をとって「○寸」と言います。寸が一つ上がるたびに約5〜6度傾斜が上がります。ちょうど10寸で45度の傾斜になります。

屋根勾配って何のこと

1寸よりも細かな「0.5寸」という刻みも存在します。日本の屋根勾配は4〜5寸が標準的なため、その前後の0.5寸も加えて下記に一覧表を掲載いたします。表は勾配ごとに傾斜角度と伸び率を記載しています。伸び率とは屋根面が底辺に対してどのくらい伸びるかを表す数値です。傾斜が上がるということは高さが上がるということでもあります。底辺の長さが同じ場合、高さが上がると、その分斜線が長くなる(※1)というのは三角関数でなじみがある方も多いと思いますが、この伸び率は屋根面積の大きさにつながります。屋根の水平投影平面積(※2)
に対して伸び率をかけたものが計算上の屋根面積となります。

屋根勾配って何のこと

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屋根勾配って何のこと

このように細かく分けられた屋根勾配。勾配による屋根や住宅に対する影響はどのようなものがあるのでしょうか。まず、勾配によって大きく変わる点を2つ見てみましょう。その後に、勾配を3つのグループに分けてその特徴を見ていきます。

勾配によって左右される2つの事柄

勾配が屋根に与える影響で大きなものは、「屋根面積」と「使用可能な屋根材」が変わるということです。屋根面積に関しては、勾配による伸び率に影響されて勾配が上がれば上がるほど面積が大きくなっていきます。また、使用可能な屋根材に関しては勾配が一定値を下回る場合、設置が出来ないという条件が定められているからです。

屋根勾配と屋根面積の関係

勾配による伸び率によって、同じ水平投影平面積であっても以下のように屋根面積に違いが発生します。屋根面積によって、使用する屋根材や塗料の分量が変わるため材料代が上がります。また、勾配が急になると屋根足場という屋根の上にも展開する足場が必要になります。この部品代と作業台が上乗せされるため、費用が上がります。

屋根勾配って何のこと

施工できない屋根材について

屋根材ごとに「必要最低勾配」と呼ばれる、施工に必要な勾配の最低値が定められています。この必要最低勾配は「雨水が正しく流れるために必要な角度」として設けられ、この条件を無視してしまうと雨漏れなどの雨水で発生するトラブルにつながることがあります。

屋根勾配って何のこと

上記の図のように3寸勾配の屋根の場合は金属屋根とスレート屋根の施工は可能ですが、瓦屋根を施工することはできません。これを踏まえると現在瓦の屋根は4寸以上の勾配であるであろうことが計測しなくてもわかります。また、瓦屋根であれば葺き替え時の屋根材の選択肢が多いともいえることが出来ます。

緩勾配:1〜3.5寸以下

緩勾配(かんこうばい)は文字通り、傾斜の緩い屋根のことです。傾斜を抑えることで台風や風の影響を受けにくくなります。また、落雪の防止にもつながるため、雪の多い地域でも多く見られる特徴の屋根です。

屋根勾配って何のこと

緩勾配のメリット

・台風や強風の影響を受けにくい
・屋根面積が広がらない(伸び率がほとんどない)ため塗料が少なくて済む
・落雪被害が少ない

緩勾配のデメリット

・傾斜が緩いため、水はけが悪く雨漏りにつながることがある
・汚れがたまりやすく、劣化や美観の低下につながりやすい
・屋根裏に高さが取れない
・施工できない屋根材がある※

並勾配:3寸以上6寸以下

並勾配は標準的な勾配です。メリットが多く、デメリットが少ないため、多くの住宅で採用されている非常に扱いやすい屋根です。

屋根勾配って何のこと

並勾配のメリット

・雨漏れがしにくい
・工事費用や手間が標準的であり、計算がしやすい
・屋根材に限定がない


並勾配のデメリット

・特になし
 ※デメリットはありませんが、屋根全般に生じる問題やトラブルリスクは同様にありま
  す。劣化や補修の必要がないということではありません。

急勾配:6寸以上

急勾配は傾斜がきつく、住宅関係者でも屋根の上に上ることをためらったり、登っていても立っていられないような屋根です。6寸を超えると角度は30度以上となります。スキー場であれば30度となると、崖上に立っているような感覚になりますよね。少し怖い、マイナスに聞こえそうな表現になりましたが、メリットも多くある勾配です。

屋根勾配って何のこと

急勾配のメリット

・急角度の屋根を雨水がするする流れるため水はけがよく雨漏れのリスクが少ない
・雨水と一緒に汚れも流れるため、美観維持に良い
・積雪時に雪が積もりにくい、または落ちやすい
・屋根裏が高くとれ、収納力が上がる


急勾配のデメリット

・屋根面積が大きくなるため、塗り替えコストが上がる
・メンテナンス時に屋根足場が必須となる
・台風や強風によるダメージを受けやすい
・建物として高さがでるため、庭などの日当たりが悪くなる場合がある

まとめ

標準的な並勾配がデメリットが少なく、一番良いとされていますが、もうすでに立っている家は屋根勾配の変更が簡単にはできないため、おすすめや推奨とは言いません。それよりも、今ご自身のお住まいがなぜ急勾配なのか、それとも緩勾配なのかということについて建築時の意図が分かる材料として見て頂ければと思います。

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